WordやPowerPoint、Excelで作成した大切な資料。「いざ印刷会社に入稿したら、文字が化けた!」「レイアウトが崩れてる…」「画像が荒い!」なんて経験はありませんか?
Officeソフトは普段使いには便利ですが、印刷会社でのプロの印刷には、実はそのまま入稿できないケースがほとんどなんです。互換性の問題、フォントの埋め込み、画像の解像度など、印刷に適したPDFに変換しないと、予期せぬトラブルに繋がり、納期遅延や追加費用が発生してしまうことも。
「どうすればWordやPowerPointのデータを、美しく確実に印刷できるPDFに変換できるの?」
この疑問を抱えているあなたのために、この記事ではOfficeデータ(Word、PowerPoint、Excel)を印刷用PDFに完璧に変換するための完全ガイドをお届けします。データ入稿時の失敗を防ぎ、あなたの意図通りの高品質な印刷物を手に入れるための具体的な手順と、よくあるトラブルへの対処法を徹底解説。
この記事を読めば、もう印刷時の「まさか」に怯える必要はありません。誰でも簡単に、プロ品質の印刷用PDFを作成できるようになります。あなたのデザインや資料が、最高の状態で印刷される未来を想像してみてください。さあ、一緒にOfficeデータを印刷に強いPDFへと生まれ変わらせましょう!
なぜOfficeデータを印刷用PDFに変換する必要があるのか?
「Officeソフトで完璧に作ったはずなのに、印刷してみたら全然イメージと違った…」そんな経験は、多くの人が一度はするものです。特に、Word、PowerPoint、ExcelといったOfficeデータは、普段の書類作成には非常に便利ですが、プロの印刷会社に入稿する際には、そのままの状態では予期せぬトラブルの温床となります。なぜOfficeデータを直接入稿してはいけないのか、そしてなぜ印刷用PDFへの変換が必須なのか、その理由と変換することで得られるメリットについて詳しく見ていきましょう。
Officeデータ直接入稿のリスク
Officeデータを直接印刷会社に入稿してしまうと、以下のようなさまざまなリスクが発生し、結果的に時間やコストのロスに繋がりかねません。
1. 文字化け・フォントの置き換わり
Officeデータで作成した文書に、あなたのパソコンにしかない特殊なフォントを使用していませんか? 印刷会社の環境にそのフォントがない場合、文字が別のフォントに置き換わってしまったり、最悪の場合、完全に文字化けして判読不能になったりすることがあります。これにより、せっかくのデザインや伝えたい情報が台無しになってしまいます。
2. レイアウト崩れ・ズレ
同じOfficeソフトでも、バージョンやOS(Windows/Mac)の違いによって、文書の表示やレイアウトが微妙に異なることがあります。あなたのPCでは問題なく表示されていても、印刷会社のPCで開いた途端、文字の位置がずれたり、画像が移動したり、表がはみ出したりするといった現象が起こり得ます。これは、互換性の問題が原因であり、印刷結果に大きく影響します。
3. 画像の劣化・表示エラー
WordやPowerPointに画像を貼り付ける際、Officeソフトが自動的に画像の解像度を下げたり、圧縮したりすることがあります。これにより、画面上ではきれいに見えても、実際に印刷すると画像が粗く、ぼやけてしまうことがあります。また、Officeソフト特有の画像のリンク方法などが原因で、画像自体が表示されなくなるといった致命的なエラーに繋がる可能性も否定できません。
4. 透明効果・特殊エフェクトの不具合
Officeソフトには、文字の影や光彩、図形の透明度といった様々な特殊効果があります。これらの効果は、Officeソフト内では意図通りに表示されても、印刷機を通して出力される際に正しく再現されず、予期しない見た目になることがあります。場合によっては、全く異なる色合いになったり、表現が消えてしまったりすることも考えられます。
5. 再入稿による納期遅延・追加費用
上記のような問題がデータ入稿後に発覚した場合、印刷会社からデータの修正を依頼され、再入稿が必要になります。これにより、当初予定していた納期に間に合わなくなったり、データ修正費用や再入稿手数料といった余分なコストが発生したりするリスクが高まります。
PDF変換で得られるメリット
これらのリスクを回避し、安心して印刷物を作成するために、Officeデータを印刷用PDFに変換することが最も有効な解決策です。PDFに変換することで、以下のような多くのメリットが得られます。
1. どの環境でも同じ表示を保証
PDF(Portable Document Format)は、「どの環境で開いても、元のデータと同じ表示を再現する」ことを目的として開発されたファイル形式です。OfficeデータをPDFに変換することで、あなたのPCで作成したデザイン、フォント、レイアウト、画像などが、印刷会社のPCや印刷機でも完全に再現されるようになります。これにより、予期せぬトラブルを大幅に削減できます。
2. フォントの完全埋め込み
PDFに変換する際、使用されているフォントをデータ内に完全に埋め込むことができます。これにより、印刷会社側にあなたの使用したフォントがなくても、文字化けやフォントの置き換わりが起こる心配が一切なくなります。デザインの意図が正確に伝わり、安心です。
3. 高品質な画像表現の維持
PDF変換時には、画像の圧縮設定を最適化することで、印刷に適した高解像度での画像品質を維持できます。Officeソフトによる不必要な画像劣化を防ぎ、写真やイラストが鮮明に印刷されるようになります。また、リンク切れの心配もなくなり、すべての画像が確実に印刷データに反映されます。
4. 透明効果や特殊エフェクトの正確な再現
PDFは、透明効果やグラデーション、シャドウなどの特殊な表現も正確に再現できるため、Officeソフトで作成した複雑なデザインも、印刷時に意図した通りの仕上がりになります。
5. スムーズな入稿と納期短縮
印刷会社にとって、PDFデータは最も扱いやすく、処理しやすいファイル形式です。データチェックにかかる時間が短縮され、スムーズな入稿が可能になります。これにより、再入稿のリスクが減り、結果的に納期遅延を防ぎ、コストを抑えることにも繋がります。
以上の理由から、Officeソフトで作成したデータを印刷会社に入稿する際には、必ず印刷用PDFに変換することが、高品質な印刷物を手に入れるための不可欠なステップとなるのです。
Officeソフトから高品質な印刷用PDFを作成する基本手順
Officeデータを印刷用PDFに変換することの重要性をご理解いただけたでしょうか? ここからは、実際にWord、PowerPoint、Excelの各ソフトを使って、印刷会社にそのまま入稿できる高品質なPDFを作成する具体的な手順を解説します。それぞれのソフトで共通する重要な設定ポイントも合わせてご紹介するので、ぜひ参考にしてください。
Wordから印刷用PDFを作成する方法
Wordで作成した文書を印刷用PDFにする場合、いくつかの重要な設定を確認しながら書き出すことがポイントです。特に、文字化けやレイアウト崩れを防ぐためのフォントの埋め込みは必須です。
手順:
- まず、Wordで作成した文書を開き、最終的な内容、レイアウトに誤りがないか確認してください。
- 「ファイル」タブをクリックし、「エクスポート」を選択します。
- 「PDF/XPS ドキュメントの作成」をクリックし、「PDF/XPSの作成」ボタンを押します。
- 「名前を付けて発行」ダイアログボックスが表示されたら、保存場所とファイル名を指定します。
- ここで重要なのが「オプション」ボタンです。これをクリックして詳細設定を行います。
- 「PDFのオプション」ダイアログボックスで、以下の項目を確認・設定します。
- 「ISO 19005-1 準拠 (PDF/A)」にチェックを入れると、長期保存や印刷に適した形式(PDF/A-1a)で保存されます。一部の印刷会社ではPDF/X形式を推奨する場合もあるため、その場合は次に説明する「Adobe Acrobat」を使用した変換がより確実です。
- 「印刷オプション」セクションで、「ドキュメントのプロパティ」と「構造タグをPDFに含める」のチェックは通常そのままで問題ありません。
- 「発行後にファイルを開く」にチェックを入れておくと、変換後にPDFの内容を確認できて便利です。
- 「PDFのオプション」ダイアログボックスで、以下の項目を確認・設定します。
- 「発行」をクリックしてPDFを保存します。
Wordの標準機能でのPDF書き出しは手軽ですが、より厳密な印刷品質を求める場合は、後述の「PDF変換時の重要設定」や、Adobe Acrobat Proなどの専門ソフトを使用することも検討してください。
PowerPointから印刷用PDFを作成する方法
PowerPointのプレゼンテーション資料も、PDFに変換することで意図しないレイアウト崩れやフォントの問題を防げます。画像が多く含まれる場合は、画質設定にも注意が必要です。
手順:
- PowerPointで作成したプレゼンテーションを開き、スライドの内容やアニメーション、表示順などを最終確認します。
- 「ファイル」タブをクリックし、「エクスポート」を選択します。
- 「PDF/XPS ドキュメントの作成」をクリックし、「PDF/XPSの作成」ボタンを押します。
- 「名前を付けて発行」ダイアログボックスが表示されたら、保存場所とファイル名を指定します。
- 「オプション」ボタンをクリックして詳細設定を行います。
- 「発行対象」で「スライド」が選択されていることを確認します。
- 「スライドの枠線を印刷」や「コメントとインク」など、印刷に不要な項目にはチェックを入れないようにします。
- 特に重要なのが「発行対象」の下にある「オプション」です。
- 「PDFのオプション」ダイアログボックスで、「ISO 19005-1 準拠 (PDF/A)」にチェックを入れると、印刷に適した形式で保存されます。
- 「画像サイズと品質」セクションで、「高品質印刷 (300dpi)」または「出版品質 (300dpi以上)」を選択し、画像の劣化を防ぎます。
- 「発行」をクリックしてPDFを保存します。
PowerPointでは、特に画像や図形の配置が複雑になりがちです。PDF変換後には必ず内容を隅々までチェックし、期待通りの表示になっているか確認しましょう。
Excelから印刷用PDFを作成する方法
Excelの表データやグラフを印刷する際も、PDF変換は非常に有効です。特に複数シートがある場合や、印刷範囲が複雑な場合は、PDF化によって意図通りの印刷がしやすくなります。
手順:
- Excelで作成したワークブックを開き、印刷したいシートが選択されているか確認します。印刷範囲を正確に設定していることも重要です。
- 「ファイル」タブをクリックし、「エクスポート」を選択します。
- 「PDF/XPS ドキュメントの作成」をクリックし、「PDF/XPSの作成」ボタンを押します。
- 「名前を付けて発行」ダイアログボックスが表示されたら、保存場所とファイル名を指定します。
- 「オプション」ボタンをクリックして詳細設定を行います。
- 「発行対象」セクションで、印刷したい範囲(「選択したシート」「ブック全体」「選択範囲」など)を正確に指定します。ここを間違えると、意図しない部分が印刷されたり、逆に印刷されない部分が出たりします。
- 「PDFのオプション」ダイアログボックスで、「ISO 19005-1 準拠 (PDF/A)」にチェックを入れます。
- 「印刷品質」オプションがあれば、「高品質印刷」などを選択して画像の品質を維持します。
- 「発行」をクリックしてPDFを保存します。
Excelの場合、PDF変換前に「ページレイアウト」タブの「印刷タイトル」や「改ページプレビュー」で、印刷範囲や改ページ位置が正しく設定されているかを確認することが、きれいにPDF化するための鍵です。
PDF変換時の重要設定(フォント埋め込み、画像圧縮率など)
OfficeソフトからのPDF書き出しでは、共通していくつかの重要な設定に注意を払う必要があります。これらの設定を最適化することで、印刷品質を大きく向上させることができます。
1. フォントの埋め込み
これが最も重要と言っても過言ではありません。前述の通り、フォントが埋め込まれていないと、印刷会社で文字化けやフォントの置き換わりが発生します。OfficeソフトのPDF書き出しオプションで「フォントを埋め込む」または「ISO 19005-1 準拠 (PDF/A)」にチェックを入れることで、基本的にフォントは埋め込まれます。
2. 画像の圧縮率と解像度
PDFに変換する際、画像が不必要に圧縮されて画質が劣化することがあります。特に写真などのビットマップ画像は注意が必要です。
OfficeソフトのPDFオプション(または「名前を付けて保存」の「ツール」→「図の圧縮」)で、画像の解像度を「高品質印刷」や「出版品質」などの高い設定にしてください。理想は300dpi以上を維持することです。
3. 印刷品質の最適化(PDF/X形式)
印刷会社が推奨することが多いのが「PDF/X」という形式です。これは印刷用途に特化したPDFの標準規格で、フォントの埋め込み、カラープロファイル、透明効果の処理などが最適化されています。Officeソフトの標準機能だけではPDF/X形式での書き出しが難しい場合があります。その場合は、Adobe Acrobat ProなどのPDF作成ソフトを介して、OfficeファイルをPDF/X形式に変換し直すのが最も確実です。
4. 塗り足し(裁ち落とし)の考慮
WordやPowerPoint、Excelの標準機能では、印刷用の「塗り足し(ブリード)」領域を直接設定する機能は非常に限定的です。もしデザインに背景色や画像をページの端まで配置している場合は、仕上がりサイズより3mm程度外側に余裕を持たせる「塗り足し」が必要です。これは、作成時にドキュメントサイズをあらかじめ大きく設定するか、PDF変換後にAdobe Acrobatなどの専門ソフトで対応する必要があります。入稿する印刷会社の「入稿規定」を必ず確認し、塗り足しの必要性と指定サイズを把握しておきましょう。
これらの基本手順と重要設定を理解し、実践することで、Officeソフトで作成したデータもプロの印刷に耐えうる高品質なPDFとして生まれ変わります。次のセクションでは、それでも発生しがちなPDF変換時のトラブルと、その具体的な解決策について解説します。
PDF変換時のトラブルと解決策
Officeソフトから印刷用PDFを作成する基本手順を理解しても、実際に変換してみると「あれ?なんかおかしいぞ…」というトラブルに遭遇することは少なくありません。しかし、ご安心ください。よくあるトラブルには、それぞれ適切な解決策があります。ここでは、特に頻繁に発生する「文字化け」「画質低下」「レイアウト・改行ずれ」の問題に焦点を当て、その原因と具体的な対処法を解説します。
文字化け・フォントの問題
PDF変換後、文字が正しく表示されなかったり、見慣れない記号に変わってしまったりする「文字化け」は、最も一般的なトラブルの一つです。また、指定したフォントとは異なるフォントで表示される「フォントの置き換わり」もよくあります。
原因:
- フォントがPDFに埋め込まれていない:これが文字化けやフォント置き換わりの最大の原因です。使用しているフォントがPDFデータに含まれていないため、PDFを開く環境にそのフォントがない場合に代替フォントで表示されたり、文字化けしたりします。
- 特殊なフォントの使用:Webフォントや古いバージョンのフォント、非常に珍しいフォントなど、一部の特殊なフォントはPDFに適切に埋め込まれないことがあります。
- PDF変換設定の不備:PDF書き出し時に「フォントを埋め込む」設定が正しく行われていない。
解決策:
- フォントの埋め込みを徹底する:
- OfficeソフトでPDFにエクスポートする際、必ず「オプション」から「フォントをPDFに埋め込む」または「ISO 19005-1 準拠 (PDF/A)」にチェックを入れることを確認してください。多くの場合はこれで解決します。
- PowerPointでは、「ファイル」→「オプション」→「保存」から「ファイルにフォントを埋め込む」設定ができます。PDF化する前に「すべての文字を埋め込む」を選択しておくとより確実です。
- 標準的なフォントを使用する:
- 可能であれば、日本語フォントであれば「MSゴシック」「MS明朝」「游ゴシック」「游明朝」、欧文フォントであれば「Arial」「Times New Roman」など、OSに標準で搭載されている汎用性の高いフォントを使用しましょう。
- Webからダウンロードしたフリーフォントや、デザイン系の特殊なフォントは、印刷会社での対応が難しい場合があります。どうしても使いたい場合は、事前に印刷会社に相談するか、フォントをアウトライン化(図形に変換)するなどの対策が必要です。(Officeソフト単体でのアウトライン化は難しいため、Adobe Illustratorなどに一度貼り付けてからアウトライン化するなどの手間がかかります。)
- Adobe Acrobat Proでの変換を検討する:
- Officeソフトの標準機能で解決しない場合、Adobe Acrobat Pro(有料ソフト)を使用すると、より詳細なPDF設定が可能です。「印刷」メニューからAdobe PDFプリンターを選択し、「Adobe PDF設定」で「プレス品質」や「PDF/X形式」を選び、フォントの埋め込み設定を詳細に行うことで、ほとんどのフォント問題を解決できます。
画質低下・画像劣化の問題
PDFに変換した途端、写真やイラストがぼやけたり、ピクセルが粗く見えたりする画質低下もよくある問題です。特にカラー印刷では顕著に現れます。
原因:
- 不適切な画像圧縮設定:PDF変換時に、ファイルサイズを小さくするために画像が過度に圧縮されたり、解像度が下げられたりすることがあります。
- 低解像度画像の利用:そもそもOfficeデータに貼り付けている画像自体の解像度が低い(例: Webからダウンロードした72dpiの画像など)。
- 画像形式の問題:画像の保存形式が印刷に適していない(例: JPEGの圧縮率が高すぎる、WebPなど印刷機が対応しない形式)。
解決策:
- 高解像度画像を準備する:
- まず、Officeデータに貼り付ける元の画像ファイルが高解像度であること(印刷物の場合、推奨は300~350dpi)を確認してください。低解像度の画像を拡大しても、画質は改善しません。
- 写真データであれば、デジタルカメラで撮影したRAWデータや高画質JPEGなどを使用しましょう。
- PDF書き出し時の画質設定を最適化する:
- WordやPowerPointの「エクスポート」→「PDF/XPSの作成」の「オプション」で、「画像サイズと品質」の項目を「高品質印刷 (300dpi)」または「出版品質 (300dpi以上)」に設定します。
- Excelの場合も同様に、印刷品質に関するオプションで最適な設定を選びましょう。
- 画像の圧縮設定を見直す:
- Officeソフトでは、「ファイル」→「名前を付けて保存」→「ツール」→「図の圧縮」から、画像の圧縮設定を変更できます。PDF変換前に、高画質を維持する設定(例: 「印刷(220 ppi)」以上)に変更しておきましょう。
- Adobe Acrobat Proで最適化する:
- 作成したPDFの画質に不満がある場合、Adobe Acrobat ProでPDFを開き、「ツール」→「PDFを最適化」を使用することで、画像のダウンサンプリング設定や圧縮率を調整し、画質を維持しつつファイルサイズを最適化できます。
レイアウト・改行ずれの問題
「なぜか改行位置が変わっている」「表がページからはみ出している」「全体的に文字がずれてる」といったレイアウトの崩れは、非常に目立つトラブルです。特に、複数ページにわたる文書や複雑な図形を含む場合に発生しやすくなります。
原因:
- Officeソフトのバージョン・OS環境の違い:前述の通り、異なる環境で開くとレイアウトがずれることがあります。
- フォントの互換性問題:フォントが正しく埋め込まれていないと、代替フォントに置き換わり、文字幅が変わってレイアウトがずれることがあります。
- 印刷設定の不一致:Office文書の印刷設定(用紙サイズ、余白など)と、PDF変換時の設定、または印刷会社の印刷設定が一致していない。
- オブジェクトの配置方法:画像や図形が「文字列の折り返し」設定で「行内」以外になっている場合、意図せず位置がずれることがあります。
解決策:
- PDF変換前の最終チェックを徹底する:
- PDFに変換する直前に、Officeデータの内容を再度隅々まで確認してください。特に、文字の改行位置、段落のずれ、画像の配置、表の幅や行の高さなどを念入りにチェックしましょう。
- Excelの場合は、「改ページプレビュー」や「印刷プレビュー」を活用し、印刷範囲や改ページが適切かを確認することが重要です。
- フォント埋め込みの再確認:
- 文字化けの問題と同様に、フォントが確実に埋め込まれているか確認してください。これがレイアウトずれの原因となることも多々あります。
- オブジェクトの配置設定を見直す:
- 画像や図形など、配置が重要なオブジェクトは、「文字列の折り返し」設定を「行内」にすることで、文字と同期して動くため、レイアウトが安定しやすくなります。ただし、自由な配置は難しくなるため、状況に応じて使い分けましょう。
- PowerPointでは、オブジェクトをグループ化することで、個別のずれを防ぐことができます。
- PDF/X形式での保存を検討する:
- PDF/X形式は印刷用の標準規格であり、レイアウトの安定性も高まります。Officeソフトの標準機能で難しい場合は、Adobe Acrobat Proなどを利用してPDF/X形式で書き出しましょう。
- 印刷会社への事前確認:
- どうしても解決しない場合や、複雑なレイアウトのデータの場合は、事前に印刷会社に相談し、推奨されるPDF変換方法や、データの作成上の注意点を確認することをおすすめします。テスト印刷サービスがある場合は、それを活用するのも良いでしょう。
これらのトラブルは、事前の設定と変換後の確認、そして適切なツールを使うことで、ほとんど回避できます。諦めずに一つずつ対処していけば、あなたのOfficeデータもプロの印刷物として完璧に仕上がるはずです。
よくある質問(FAQ)
WordをPDFに変換すると画質が落ちるのはなぜですか?
WordからPDFに変換する際、デフォルト設定ではファイルサイズを小さくするために画像が自動的に圧縮され、解像度が低下することがあります。特に、ウェブ用に最適化された低解像度の画像をWordに貼り付けている場合、印刷品質として必要な300dpi以上の解像度を確保できず、印刷時に画像が粗く見えてしまうことがあります。
対策としては、PDFエクスポート時の「オプション」で「画像サイズと品質」を「高品質印刷 (300dpi)」以上に設定するか、そもそもWordに貼り付ける前に元画像を十分な解像度(印刷物なら300~350dpi推奨)で準備しておくことが重要です。
WordからPDFに変換すると文字化けしますか?
はい、文字化けする可能性があります。主な原因は、Word文書内で使用しているフォントがPDFに適切に「埋め込まれていない」ためです。印刷会社の環境にそのフォントがない場合、システムが代替フォントで表示しようとするため、意図しない文字に置き換わったり、記号のようになってしまったりします。
これを防ぐためには、PDF変換時に必ず「フォントをPDFに埋め込む」オプション(または「ISO 19005-1 準拠 (PDF/A)」)にチェックを入れてください。また、特殊なフォントの使用は避け、汎用性の高いフォントを選ぶか、どうしても使いたい場合は事前に印刷会社に相談しましょう。
WordをPDFにするにはどうしたらいいですか?
WordをPDFにするには、主に二つの方法があります。
- Wordの「エクスポート」機能を使う: Wordの「ファイル」タブから「エクスポート」を選択し、「PDF/XPS ドキュメントの作成」をクリックして保存します。この際、「オプション」から「フォントをPDFに埋め込む」などの印刷に適した設定を確認・調整することが重要です。
- Adobe AcrobatなどのPDF作成ソフトを使う: より高品質な印刷用PDF(特にPDF/X形式)を作成したい場合は、Adobe Acrobat Proなどの専用ソフトが推奨されます。Word文書をAcrobatで開き、印刷用プロファイル(例: プレス品質)を選んでPDFに変換することで、より詳細な制御が可能です。
WordでPDFに変換すると改行がずれるのはなぜですか?
WordからPDFに変換した際に改行やレイアウトがずれる原因はいくつか考えられます。
- フォントの互換性: フォントがPDFに埋め込まれていない場合、代替フォントに置き換わることで文字幅が変わり、結果的に改行位置がずれることがあります。
- Officeソフトのバージョン・OS環境の違い: あなたのPCとPDFを開く環境(印刷会社のPCなど)でWordのバージョンやOS(Windows/Mac)が異なると、表示エンジンの違いからレイアウトに微細なずれが生じることがあります。
- オブジェクトの配置設定: 画像や図形などのオブジェクトの「文字列の折り返し」設定が「行内」以外になっていると、PDF変換時に固定位置からずれてしまうことがあります。
これらのずれを防ぐには、PDF変換前にWord文書の最終確認を徹底し、特にフォントの埋め込み設定を確実に行うことが重要です。また、画像や図形は「行内」配置に設定できるものはそのように変更し、最終的にPDF変換後のファイルを必ず確認するようにしましょう。解決しない場合は、印刷会社に相談し、推奨される入稿方法を確認するのが最も確実です。
まとめ
この記事では、Officeデータ(Word, PowerPoint, Excel)を印刷用PDFに完璧に変換するための具体的な方法と、よくあるトラブルの解決策を詳しく解説しました。
振り返ると、以下の点が特に重要です。
- Officeデータを直接入稿すると、文字化け、レイアウト崩れ、画像劣化などの多くのリスクがあるため、印刷用PDFへの変換が必須です。
- PDFに変換することで、どの環境でも同じ表示が保証され、フォントの完全埋め込みや高品質な画像表現の維持、スムーズな入稿が可能になります。
- 各OfficeソフトからPDFを書き出す際は、「フォントの埋め込み」や「高品質印刷」などのオプション設定を必ず確認しましょう。
- 万が一、文字化け、画質低下、レイアウトずれが発生しても、本文で紹介した解決策を試すことで、ほとんどの問題は解消できます。
「たかがPDF変換」と軽視されがちですが、高品質な印刷物を得るためには、このPDF変換プロセスが非常に重要です。この記事で得た知識と手順を活用すれば、もう印刷時のトラブルに悩むことはありません。
さあ、次に大切な資料を印刷する際は、今日学んだPDF変換の完璧な手順を実践し、あなたの意図通りの最高の印刷物を手に入れてください。自信を持って、プロ品質の印刷データを印刷会社へ入稿しましょう!
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