「入稿したIllustratorデータ、画像が全部表示されてない!」「印刷したら、画像だけモザイクみたいになってる…」そんな経験、ありませんか? 納期直前や、いざ印刷という時に「画像リンク切れ」が発覚すると、冷や汗が止まりませんよね。
Illustratorを使ったデザインデータ作成で、画像リンク切れは多くのデザイナーが直面する共通の悩みです。せっかく時間をかけて作ったデータも、リンク切れ一つで台無しになり、最悪の場合、印刷会社から差し戻されたり、予期せぬ費用が発生したりするリスクもあります。
でも、安心してください! この記事を読めば、もうリンク切れで悩むことはありません。なぜリンク切れが起こるのかという根本的な原因から、画像を完全に埋め込む方法、リンクのまま安全に管理する正しい保存方法、そして万が一リンク切れが起こってしまった場合の具体的な対処法と最終確認まで、Illustratorでの画像管理のすべてを網羅的に解説します。
本記事では、以下の疑問を完全に解消し、あなたのデザインワークを劇的に効率化します。
- Illustratorの「リンク」と「埋め込み」の違いって何?
- なぜ私のデータはいつもリンク切れになるの?その原因と対策を知りたい!
- リンク切れの心配なく、安心して入稿できるデータを作るにはどうすればいい?
- もしリンク切れを起こしてしまったら、どうやって直せばいいの?
この記事を最後まで読めば、あなたはリンク切れの恐怖から完全に解放され、自信を持ってどんな印刷物でも入稿できるようになります。「もう画像リンク切れで困らない!」そんな未来のために、ぜひこの完全ガイドをあなたのデザインスキルに加えてください。
Illustrator「リンク切れ」とは?なぜ起こる?入稿時のリスク
Illustratorでデザインを作成する際、写真やロゴなどの外部画像を配置することは日常的に行われます。しかし、この「配置」の仕組みを理解していないと、予期せぬ「リンク切れ」という問題に直面し、最終的な印刷物に影響が出る可能性があります。
このセクションでは、まずIllustratorが画像を扱う際の基本的な二つの方法、「リンク」と「埋め込み」の違いを明確にし、なぜリンク切れが起こるのか、その主な原因と、入稿時にどのようなリスクがあるのかを詳しく解説していきます。トラブルを未然に防ぐためにも、まずはその仕組みをしっかりと理解しましょう。
画像の「リンク」と「埋め込み」の違い
Illustratorに画像を配置する方法には、大きく分けて「リンク」と「埋め込み」の2種類があります。それぞれの特性を理解することが、リンク切れ対策の第一歩です。
画像を「リンク」するとは?
画像をリンクするとは、Illustratorファイル(.ai)の中に画像データそのものを格納せず、画像ファイルの「場所」の情報(パス)だけを記録する方法です。例えるなら、Illustratorファイルが地図で、画像ファイルがその地図に示された宝の場所のようなものです。
- メリット:
- Illustratorファイル自体のデータ容量が軽くなるため、ファイルの開閉が速く、動作が軽快になります。
- リンク元の画像ファイルを編集すれば、Illustrator上の画像も自動的に最新の状態に更新されます。同じ画像を複数のIllustratorファイルで使い回す場合に効率的です。
- デメリット:
- リンク元の画像ファイルが移動、削除されると「リンク切れ」が発生します。
- Illustratorファイルとリンク画像をセットで管理しないと、他の環境でファイルを開いた際に画像が表示されなくなる可能性があります。
- 入稿時には、Illustratorファイルだけでなく、使用している全てのリンク画像も一緒に送る必要があります。
プロの現場では、動作の軽快さや修正の容易さから、リンク配置が多用されます。しかし、その管理には細心の注意が必要です。
画像を「埋め込み」するとは?
画像を埋め込むとは、画像データそのものをIllustratorファイル(.ai)の中に完全に格納する方法です。先ほどの例で言えば、地図の中に宝そのものを直接貼り付けてしまうようなものです。
- メリット:
- リンク切れの心配が一切ありません。画像データがIllustratorファイル内に完結しているため、元画像がどこにあっても、Illustratorファイルを開けば必ず画像が表示されます。
- Illustratorファイル単独で完結するため、入稿時に関連画像を渡し忘れるリスクがなくなります。
- デメリット:
- Illustratorファイル自体のデータ容量が重くなります。多数の画像を埋め込むと、ファイルの開閉や保存に時間がかかり、動作が遅くなることがあります。
- 埋め込んだ画像を修正する場合、Illustrator上で直接編集するか、一度画像を書き出して外部ソフトで編集し、再度埋め込み直す手間が発生します。(Photoshopなどで元画像を編集しても、Illustrator内の埋め込み画像には反映されません。)
それぞれのメリット・デメリットを理解し、プロジェクトの規模や運用方法によって適切な方法を選択することが重要です。
なぜリンク切れは起こるのか?主な原因とエラーメッセージ
「リンク切れ」とは、Illustratorファイルが参照している画像ファイルの場所を見失ってしまい、画像が正しく表示されなくなる現象を指します。Illustratorでは、リンク切れを起こした画像は、一般的に「X」印のついた表示になったり、画像が荒いプレビュー表示になったりします。
リンク切れが起こる主な原因は、以下の通りです。
- 画像ファイルの移動・削除: Illustratorファイルで参照していた画像ファイルが、別のフォルダに移動されたり、誤って削除されたりした場合に発生します。これが最も一般的な原因です。
- ファイルパスの変更: Illustratorファイルと画像ファイルが入っているフォルダごと移動したり、フォルダ名やファイル名を変更したりした場合にも、参照パスが変わるためリンク切れが起こります。
- 異なるOS間でのデータ移動: WindowsとMacなど、異なるOS間でデータをやり取りした場合、ファイルパスの記述方法の違いからリンクが認識されなくなることがあります。
- サーバーからのダウンロード: サーバー上からダウンロードしたデータで、画像がリンク状態のままだった場合、ローカル環境でパスが一致せずリンク切れになります。
- 外部からのデータ受け渡し: クライアントや共同作業者からIllustratorデータだけを受け取り、参照画像を受け取り忘れた場合に発生します。
リンク切れが発生すると、Illustratorを開いた際に「一部のファイルが見つからないか、変更されています。」といった警告メッセージが表示されます。このメッセージを無視して作業を進めると、後で取り返しのつかない事態になる可能性があるため、必ず確認して対処しましょう。
リンク切れが印刷データに与える深刻な影響
Illustrator上では「X」マークが付いていても何となくデザインの形はわかりますし、低解像度のプレビューが表示されることもあります。しかし、このリンク切れを放置したまま印刷会社に入稿してしまうと、以下のような深刻なトラブルが発生します。
- 画像が印刷されない、または低解像度で印刷される:
リンク切れの画像は、印刷機がその画像データを読み込めないため、真っ白になったり、画像が全く印刷されなかったりします。Illustratorの低解像度プレビューがそのまま印刷されてしまい、荒いモザイク状の画像になってしまうこともあります。これは納品物の品質に直接関わる重大な問題です。
- 印刷会社からのデータ差し戻し、納期遅延:
印刷会社は入稿されたデータをチェックする際にリンク切れを発見します。そうなると、お客様にデータ修正を依頼するため、印刷工程がストップし、納期が大幅に遅れる原因となります。特に急ぎの案件では、大きな損害につながる可能性があります。
- 予期せぬ追加費用:
印刷会社によっては、リンク切れの修正やデータの再入稿に対して追加料金が発生する場合があります。これは完全にデザイナー側のミスであるため、お客様に請求することも難しく、無駄なコストになってしまいます。
- クライアントからの信頼失墜:
納品された印刷物に画像が表示されていなかったり、品質が著しく低かったりすれば、クライアントからの信頼は一気に失われます。今後の仕事にも影響が出る可能性は否定できません。
このように、単なる「リンク切れ」という現象が、最終的には品質低下、納期遅延、コスト増、そして信頼失墜という最悪のシナリオを引き起こしかねません。だからこそ、Illustratorで画像を扱う際には、このリンク切れの問題を徹底的に防ぐ知識と対策が求められるのです。
次のセクションでは、実際にIllustratorでリンク切れを未然に防ぐための、具体的な画像配置と保存方法について詳しく解説します。これらの方法を実践することで、あなたはもうリンク切れの心配をすることなく、安心してデザインワークに集中できるようになるでしょう。
Illustratorでリンク切れを未然に防ぐ正しい画像配置と保存方法
前のセクションでは、Illustratorの画像「リンク切れ」がなぜ起こり、どれほど深刻な問題を引き起こすかを理解しました。ここからは、いよいよ実践編です。画像リンク切れのトラブルを未然に防ぎ、常に完璧な入稿データを作成するための具体的な方法を解説します。
Illustratorで画像を扱う際のポイントは、「埋め込み」と「リンク」のどちらを選ぶか、そしてリンクを選択した場合にいかに適切にファイルを管理するかです。それぞれの状況に応じた最適な方法をマスターし、もう二度とリンク切れで困らないワークフローを確立しましょう。
リンク切れの心配なし!画像を「埋め込む」方法とメリット・デメリット
画像リンク切れのトラブルを根本から解消する最も確実な方法は、画像をIllustratorデータに「埋め込む」ことです。この方法を使えば、元画像がどこにあっても、Illustratorファイル単独で画像を表示・印刷できます。
Illustratorで画像を埋め込む具体的な手順
画像をIllustratorに配置し、その場で埋め込む方法はとても簡単です。
- Illustratorのメニューバーから「ファイル」→「配置…」を選択します。
- 配置したい画像ファイルを選択し、ダイアログボックス下部にある「リンク」のチェックボックスがオフになっていることを確認します。(デフォルトでオンになっていることが多いので注意!)
- 「配置」ボタンをクリックすると、画像がIllustratorアートボード上に配置されます。この時点で画像はリンクされた状態です。
- 配置した画像を選択した状態で、上部のコントロールパネル(または「ウィンドウ」→「リンク」パネル)にある「画像を埋め込み」ボタン(アイコンは四角の中に下向きの矢印)をクリックします。
- これで画像はIllustratorファイルに埋め込まれました。「リンク」パネルで画像のアイコンが変更され、埋め込み状態になったことが確認できます。
既存のリンク画像を後から埋め込む場合は、「リンク」パネルで対象の画像を選択し、「画像を埋め込み」ボタンをクリックするだけです。
画像を埋め込むメリットとデメリット(再確認)
すでに前のセクションでも触れましたが、画像を埋め込むことのメリットとデメリットを改めて確認し、あなたのワークフローに合うかを検討しましょう。
メリット:
- リンク切れの心配が一切ない: これが最大の利点です。Illustratorファイルを開けば常に画像が表示され、入稿時のトラブルを回避できます。
- 入稿が簡単: Illustratorファイル一つだけで完結するため、複数の画像ファイルをまとめて送る手間がありません。
デメリット:
- ファイルサイズが重くなる: 高解像度の画像を多数埋め込むと、Illustratorファイルが非常に大きくなり、保存や開くのに時間がかかります。
- 画像修正の手間: 埋め込んだ画像を修正するには、一度書き出して外部ソフトで編集し、再度Illustratorに配置し直す必要があります。元画像を修正しても自動更新はされません。
小規模なデザインや、デザイン完成後の入稿データなど、リンク切れリスクを完全に排除したい場合には「埋め込み」が非常に有効な手段です。
リンク配置を活用する場合の正しいファイル管理術(関連ファイルの収集)
デザインの規模が大きかったり、頻繁に画像の修正が入ったりするプロジェクトでは、ファイルサイズの肥大化や修正の手間を考慮し、画像を「リンク」のまま運用するケースも多くあります。しかし、その場合は厳格なファイル管理が必須です。
関連画像を一箇所にまとめる「データフォルダ」の作成
リンク切れを防ぐ最も基本的なルールは、Illustratorファイルとすべてのリンク画像を同じフォルダ内にまとめておくことです。さらに、そのフォルダを丸ごと移動させるように徹底しましょう。
推奨されるフォルダ構成例:
プロジェクト名/
├── Illustratorファイル.ai
├── images/
│ ├── photo_01.psd
│ ├── logo.ai
│ └── icon.png
└── fonts/ (使用フォントがあれば)
このように、Illustratorファイルと同じ階層、またはその下の階層に「images」などのフォルダを作成し、全てのリンク画像をそこに格納します。こうすることで、フォルダごと移動してもIllustratorファイルからの相対パスが保持され、リンク切れを防ぐことができます。
Illustratorの「関連ファイルを収集」機能の活用
作業途中でリンク画像を別の場所に保存してしまったり、複数の場所から画像を配置したりして、どこに何があるかわからなくなってしまった…そんな経験はありませんか? Illustratorには、このような状況を救う便利な機能があります。
それが「関連ファイルを収集」機能です。
- Illustratorのメニューバーから「ファイル」→「関連ファイルを収集…」を選択します。
- 保存先のフォルダを指定するダイアログボックスが表示されます。新しいフォルダを作成し、そこに保存することをお勧めします。
- 「保存」をクリックすると、指定したフォルダ内にIllustratorファイルと、それにリンクされている全ての画像ファイルがコピーされて収集されます。(フォントも収集される場合があります。)
この機能を使えば、プロジェクトの最終段階で、使用した画像が全て揃っているかを確認し、入稿用の完璧なデータセットを簡単に作成できます。入稿前には必ずこの機能を使って、関連ファイルを一箇所に集める習慣をつけましょう。
Illustratorのデータ保存時の注意点
リンク切れを防ぐためには、Illustratorファイルの保存時にもいくつかの注意点があります。
ファイルを上書き保存する際の注意
デザイン作業中はこまめな上書き保存(Ctrl+S
または Command+S
)が基本ですが、画像を移動・削除した後に保存すると、その状態が「リンク切れ」として記録されてしまいます。画像ファイルの管理をしっかり行っていれば問題ありませんが、不安な場合は以下の点に注意してください。
- 画像の移動やファイル名の変更を行った場合は、Illustrator上でリンク切れの警告が出たら、必ず再リンクを行ってから保存しましょう。
- 可能であれば、作業中にリンク画像ファイルを移動させないのが一番です。
別名で保存する際の設定確認
Illustratorファイルを「別名で保存」する際も、いくつかの設定項目を確認しましょう。
- 「PDF互換ファイルを作成」: このチェックボックスはオンにしておきましょう。IllustratorファイルをPDFとしても扱えるようになり、印刷会社への入稿時に役立ちます。ただし、ファイルサイズは増加します。
- 「配置したファイルをリンクとして保存」: これは重要です。このチェックボックスは、通常はオフにしておくことを推奨します。オンにすると、Illustratorファイル内に既に埋め込まれている画像が、外部ファイルとしてリンクに戻されてしまう可能性があります。意図せずリンク切れを引き起こす原因になるため、注意が必要です。
これらの設定に気を配ることで、保存時にもリンク切れのリスクを最小限に抑えることができます。
ここまでで、リンク切れを防ぐための「埋め込み」と「リンク時の管理術」について解説しました。しかし、どれだけ注意していても、時にはリンク切れが発生してしまうこともあります。次のセクションでは、もしリンク切れが起こってしまった場合の具体的な対処法と、入稿前の最終確認手順について掘り下げていきます。
もしリンク切れが起こってしまったら?対処法と最終確認
どんなに注意していても、Illustratorの画像リンク切れは突然発生することがあります。共同作業でのファイル共有、予期せぬフォルダ移動、あるいは単純なミスなど、原因はさまざまです。しかし、リンク切れに気づいた時に慌てる必要はありません。Illustratorには、切れてしまったリンクを簡単に修復する機能が備わっています。
このセクションでは、リンク切れが発生した場合の具体的な再設定方法から、リンクの状態を常に把握しておくための「リンク」パネルの活用術、そして入稿前に欠かせない最終チェックリストまでを詳しく解説します。これらの手順を実践することで、万が一の時でも迅速に対応し、安心して入稿できるようになるでしょう。
リンク切れ画像の再設定・再リンク方法
Illustratorでリンク切れが発生した場合、最も基本的な対処法は、失われたリンクを再設定する(再リンクする)ことです。以下の手順で行いましょう。
Illustrator起動時の警告ダイアログから再リンクする
リンク切れがあるIllustratorファイルを開こうとすると、通常「一部のファイルが見つからないか、変更されています。」という警告ダイアログが表示されます。このダイアログから直接再リンクを行うのが最も効率的です。
- 警告ダイアログが表示されたら、「置き換え」ボタンをクリックします。
- ファイル検索ダイアログが開くので、目的のリンク元画像が保存されている場所(通常はIllustratorファイルと同じ階層か、その下の「images」フォルダなど)に移動し、該当の画像を選択して「配置」をクリックします。
- 正しく再リンクされれば、Illustrator上の画像表示が正常に戻ります。
- 複数のリンク切れがある場合、一つを再リンクすると、同じフォルダにある他のリンク切れ画像も自動的に再リンクされることがあります。
「リンク」パネルから手動で再リンクする
Illustratorファイルを開いた後にリンク切れに気づいた場合や、一部の画像だけを再リンクしたい場合は、「リンク」パネルから手動で再設定します。
- Illustratorのメニューバーから「ウィンドウ」→「リンク」を選択し、「リンク」パネルを表示させます。
- リンク切れを起こしている画像は、パネル内で赤い丸に「?」マークのアイコンで表示されます。
- 再リンクしたい画像を選択し、パネル下部にある「リンクを再設定」ボタン(鎖のアイコン)をクリックします。
- ファイル検索ダイアログが開くので、目的の画像ファイルを選択し、「配置」をクリックします。
- 画像が正しく再リンクされれば、赤い「?」マークが消え、通常のリンクアイコン(四角に山と太陽のアイコン)に戻ります。
ポイント: 再リンクの際は、正しい画像ファイルを選択することが非常に重要です。誤った画像を再リンクすると、デザインが意図しないものになってしまうため、必ず画像の内容を確認しながら作業を進めましょう。
「リンク」パネルを使ったリンク状況の確認方法
前述の通り、「リンク」パネルはリンク切れの修復だけでなく、Illustratorファイル内の画像リンク状況を常に把握しておくための強力なツールです。日頃からこのパネルをチェックする習慣をつけましょう。
「リンク」パネルで確認できること
「リンク」パネルを開くと、Illustratorファイルに配置されているすべての画像ファイルがリスト表示されます。各項目のアイコンや情報から、さまざまな状態を読み取ることができます。
- 画像の状態アイコン:
- 正常なリンク画像: 四角の中に山と太陽のアイコンで表示されます。
- 埋め込み画像: 四角の中に下向きの矢印(または埋め込みを示す別のアイコン)で表示されます。
- リンク切れ画像: 赤い丸に「?」マークのアイコンで表示されます。
- 更新マーク: 黄色い三角の中に「!」マークのアイコンが表示された場合、リンク元の画像ファイルがIllustratorを開いてから変更されていることを意味します。この場合は、パネル下部の「リンクを更新」ボタン(循環する矢印のアイコン)をクリックして、最新の状態に更新しましょう。
- 画像情報: パネルの下部には、選択した画像のファイル名、ファイル形式、カラーモード、実寸の解像度、埋め込み/リンクの状態などの詳細情報が表示されます。特に、解像度(ppi)が印刷に必要な解像度を満たしているか(例:印刷物で300~350ppi程度)を確認することは非常に重要です。
「リンク」パネルのメニュー活用術
「リンク」パネルの右上の三本線メニュー(ハンバーガーメニュー)をクリックすると、さらに多くの操作オプションが表示されます。
- 「リンク情報」: 選択した画像のパスなど、詳細な情報を確認できます。
- 「リンクを再設定…」: 上記で解説した手動での再リンクと同じ機能です。
- 「画像を埋め込み…」: リンク画像を埋め込み画像に変換できます。
- 「リンク画像を編集…」: Photoshopなどの外部アプリケーションでリンク元画像を直接開いて編集できます。修正後、保存すればIllustrator上の画像も自動的に更新されます。
- 「ファイルへ移動」: リンク元画像が保存されているフォルダを直接開くことができます。リンク切れの原因調査や、ファイル整理に役立ちます。
これらの機能を使いこなすことで、画像リンクに関するあらゆるトラブルに柔軟に対応できるようになります。作業中も定期的に「リンク」パネルを確認し、問題の早期発見に努めましょう。
入稿前の最終チェックリスト
デザイン作業が完了し、いざ印刷会社へ入稿!という時が、最もリンク切れが発覚しやすいタイミングです。入稿後のトラブルを防ぐためにも、以下の最終チェックリストを参考に、抜け漏れなく確認を行いましょう。
- 全ての画像が正しくリンクされているか、または埋め込まれているか?
「リンク」パネルを開き、赤い「?」マークや黄色の「!」マークのアイコンがないことを確認します。埋め込み画像はアイコンが異なりますので、それも合わせて確認しましょう。
- 必要なすべてのリンク画像が揃っているか?(リンクの場合)
もしリンク画像を「埋め込み」にせずリンクのまま入稿する場合は、Illustratorファイルと同時に、参照している全ての画像ファイルを印刷会社に渡す必要があります。「ファイル」→「関連ファイルを収集…」機能を使って、最終確認を行いましょう。
- 画像は適切な解像度か?
「リンク」パネルで各画像の「実寸解像度」を確認します。印刷に必要な解像度(カラー・グレースケール画像は300~350ppi、モノクロ2階調画像は600~1200ppiが一般的)を満たしているか確認しましょう。
- 使用しているフォントはすべてアウトライン化されているか、または埋め込まれているか?
リンク切れとは異なりますが、フォントのトラブルも入稿時に多いため、忘れずに確認しましょう。特にフォントのアウトライン化は重要です。
- 入稿先の印刷会社の「入稿ガイドライン」を熟読したか?
最も重要です。印刷会社によって推奨される設定や、データ形式(PDF/Xなど)が異なる場合があります。必ず事前にガイドラインを確認し、それに従ってデータを作成・保存しましょう。
これらの最終チェックを徹底することで、あなたは自信を持ってデータを送り出せるようになります。リンク切れの心配から解放され、よりクリエイティブな作業に集中できる環境を整えましょう。あなたのデザインが意図通りに美しく印刷されることを願っています!
よくある質問(FAQ)
Illustratorでリンクが切れた画像を再設定する方法は?
Illustratorでリンク切れが発生した場合、主に2つの方法で再設定できます。1つは、ファイルを開いた際に表示される「一部のファイルが見つからないか、変更されています。」という警告ダイアログから「置き換え」を選択し、正しい画像ファイルを選択する方法です。もう1つは、Illustratorのメニューバーから「ウィンドウ」→「リンク」パネルを開き、赤い「?」マークが付いているリンク切れ画像を選択して、パネル下部の「リンクを再設定」ボタン(鎖のアイコン)をクリックし、該当する画像ファイルを選び直す方法です。これにより、画像は再び正常に表示されるようになります。
Illustratorに画像を埋め込むメリット・デメリットは?
画像をIllustratorに埋め込む最大のメリットは、リンク切れの心配が一切なくなることです。画像データがファイル内に完全に格納されるため、元画像がどこにあっても表示・印刷が可能です。入稿時に画像ファイルを渡し忘れるリスクもなくなります。一方、デメリットとしては、Illustratorファイルのデータ容量が重くなることが挙げられます。多数の高解像度画像を埋め込むと、ファイルの開閉や動作が遅くなる可能性があります。また、埋め込んだ画像を修正する際は、一度書き出して外部ソフトで編集し、再度埋め込み直す手間が発生します。
Illustratorの画像を埋め込みとリンクでは何が違いますか?
Illustratorで画像を扱う際、「埋め込み」は画像データそのものをIllustratorファイルに含める方法です。これにより、画像はファイルの一部となり、元画像がなくても表示されます。対して「リンク」は、画像データを含めず、画像ファイルの「場所(パス)」だけをIllustratorファイルに記録する方法です。これにより、ファイルサイズを抑えられ、元画像を編集すればIllustrator上の画像も自動更新される利点がありますが、元画像が移動・削除されるとリンク切れを起こすリスクがあります。
Illustratorで画像の埋め込みを確認する方法は?
Illustratorで画像が埋め込み状態になっているかを確認するには、「リンク」パネルを使用します。メニューバーから「ウィンドウ」→「リンク」を選択してパネルを表示してください。「リンク」パネルに表示される画像名の横にあるアイコンを見ると、その画像がリンク状態か埋め込み状態かが分かります。通常、埋め込み画像には四角の中に下向きの矢印(または埋め込みを示す別のアイコン)が表示されます。また、パネルの下部には、選択した画像のステータスとして「埋め込み」と明記されます。これにより、意図通りに画像が埋め込まれているかを確認できます。
まとめ
この記事では、Illustratorにおける画像リンク切れの根本原因から、確実な対策、そして万が一の対処法までを徹底的に解説しました。
重要なポイントをもう一度振り返りましょう。
- 画像の「リンク」と「埋め込み」の違いを理解し、適切に使い分けることが重要です。リンク切れを完全に防ぐなら「埋め込み」、ファイルサイズを抑えたいなら「リンク」を選びましょう。
- リンク画像を扱う際は、Illustratorファイルと画像ファイルを常に同じフォルダにまとめる徹底した管理が必要です。「関連ファイルを収集」機能を積極的に活用しましょう。
- もしリンク切れが発生しても、「リンク」パネルから簡単に再設定(再リンク)できます。定期的にパネルをチェックする習慣が大切です。
- 入稿前には、フォントのアウトライン化も含め、印刷会社のガイドラインに従った最終チェックを必ず行いましょう。
画像リンク切れは、ちょっとした不注意で起こるものの、一度発生すると納期遅延や余計なコスト、そしてクライアントからの信頼失墜に繋がりかねない深刻な問題です。しかし、今日ご紹介した知識と手順を実践すれば、あなたはもうリンク切れに悩まされることはありません。
このガイドが、あなたのIllustratorでのデザインワークをよりスムーズに、そして自信を持って進めるための一助となれば幸いです。今日から、リンク切れゼロの安心デザインワークを始めましょう!
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